All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

D.リンチのアートスクール時代の作品


デイヴィッド・リンチ監督がフィラデルフィアのペンシルヴェニア・アカデミー・オブ・ファイン・アーツの学生だった頃に、初めて買った16ミリの手巻きキャメラで撮った最初の作品『病気になった6人の男(1967)』(=Six men Getting Sick)。本人曰く──(ASIN:4845999919 p.67より)

本当にいい出来だったけど、200ドルもかかってしまった。僕にはすごく高額に思えたね。 

1作目が完成した後、実写とアニメーションを組み合わせた作品のアイディアが生まれ、完成したのが以前紹介した『アルファベット(1968)』(=The Alphabet)。そして、この映画がきっかけになりアメリカン・フィルム・インスティチュートから7200ドルの資金を提供されて(後に2200ドルの予算追加)、完成させた映画が『グランドマザー(1970)』(=The Grandmother)だ。
※34分映画だがYouTubeには1/3だけ
このたった10分程度でも効果音と音響の懲り方が尋常ではないことが分かる。それに、なんといっても少年のベッドの盛り土!は後の『イレイザーヘッド』や『ツイン・ピークス』にも登場する。これについてリンチ監督はこう話している。(ASIN:4845999919 p.84より)

僕は盛り土が好きなんだ。本当に好きなんだよ。『イレイザーヘッド』を作っていたとき、ペギーと僕とジェニファーはLAで一軒家に住んでいて、ちゃんとした地域だったけど、家はかなりのぼろ屋だった。そこには丸い木のダイニング・テーブルがあってね。誕生日に、ペギーは何かの理由で外出していて、ジェニファーと僕はバケツで土を運び込み始めた。そして、ダイニング・ルームのテーブルの上に1メートル20センチぐらいの山を作ったんだ。テーブルをすっかり土で覆ってね。それから、山に小さなトンネルを掘り、トンネルの前に粘土の小さな抽象彫刻を置いた。そして、うれしいことに、帰ってきたペギーもそれを見て大喜びしてくれたんだ。だから、テーブルは何ヶ月もそのままにしておいた。


デイヴィッド・リンチ―映画作家が自身を語る

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