All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

Fellini's masterpiece "Toby Dammit"


 私の大大大好きな映画「悪魔の首飾り」("Toby Dammit") のイタリア語版をYouTubeで見つけたので、まとめてポストしておく。
 この映画は、エドガー・アラン・ポーの小説を、フェデリコ・フェリーニルイ・マルロジェ・ヴァディムという3大監督が競作したオムニバス作品『世にも怪奇な物語』(=Histoires extraordinaires / Spirits of the Dead (USA))の一つ、第3話の作品だ。


Fellini's Toby Dammit pt.1 of 5
Fellini's Toby Dammit pt.2 of 5
Fellini's Toby Dammit pt.3 of 5
Fellini's Toby Dammit pt.4 of 5
Fellini's Toby Dammit pt.5 of 5


 日本版は、他の2話同様フランス語仕様だったと記憶しているが―― 自分が映画を観たのが、かなり昔なので記憶が曖昧。第1話でフォンダ姉弟がフランス語を話していたのに違和感をもったのを覚えているし、さらに、第2話ではアラン・ドロンブリジット・バルドーが出演して当然のようにフランス語だったのは記憶しているのだが――このフェリーニの第3話は、白い洋服の少女の印象があまりにも強烈だった為、言葉に関しては、はっきりと断言できない。
 しかし、改めてこうしてイタリア語版を観ると、フェリーニの映画なのだから当然という意識も手伝って、すんなり腑に落ちるような気もする。
 冒頭の空港の場面から引き込まれてしまう映像美には、本当にため息が出る。ちょっとした途中の場面―例えば、主人公のテレンス・スタンプが車の中から見るシャンデリアの店など、一つ一つが素晴らしく美しく、何度見ても飽きない。それなのに、登場する人々は皆どこかこの世のものではないような不思議な雰囲気を漂わせていて、表彰式の会場も霧が立ち込めていて幻想的だし、恐怖心を煽る。最後の場面にくるあのピアノの音!完璧すぎて、白眉としかいいようがない。


 【おまけ】
オープニングのクレジットの部分に、ミスがある。多分、イタリア語から英語にした時に発生した誤訳だと思われる。 

liberally adapted from Edgar A. Poe's novel
"Don't wager your head to the Devil"

これは、正しくは↓

freely adapted from Edgar Allen Poe's short story
"Never Bet the Devil Your Head"

原作である「悪魔に首を賭けるな」(Never Bet the Devil Your Head (1850))を読んでみたいな。*1


 YouTubeにはもう一つ、英語版のビデオもあったのだが、それはエンディングに、ヴィンセント・プライス(Vincent Price)のナレーションが入っている。テレビのインタビューに答えるテレンス・スタンプは、口元を見ても英語を話しているように見えるのだが、このビデオでは本人の声ではない気がする。彼の声は、ちょっとくぐもったような声だし。
(参考までに 1,2,3,4,5,6) 


参照サイト:
Don't Look Now:世にも怪奇な物語 − Tales of Mystery and Imagination (1968)(詳細なまとめ記事です。)


関連ログ: All Tomorrow’s Girls - Young Terence Stamp!

*1:追記:2010年1月10日 今日、早稲田大学で4時間缶詰になっている間、「ポオ小説全集Ⅲ」を読んで気付いたこと。「悪魔に首を賭けるな」が原作とされる、フェリーニの映画「トビー・ダミット」は、悪魔に首を取られるという設定だけが一緒。