All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

近況とマリオ・ジャコメッリ写真展の感想

5月の連休を過ぎても、我が家のフレッシュ君たち(高1の娘と中1の息子)は5月病に罹る気配もなく、毎日元気に過ごしている。
私はといえば、毎年恒例、4月末は小学校で行う歓送迎会の席でコーラス発表と、つい昨日にはもうひとつのコーラスグループで発表する機会があった。自分の歌の出来は、どちらもまあまあ。全体的な完成度は先に歌った発表会のほうが高かった。


行こう行こうと思いつつも足を運べなかった「マリオ・ジャコメッリ写真展」に、本日、雨の中ついに行ってきた。(※会期は明日日曜日で終了。)
写美には夕方前に着いたのだが、案の定、会場内はかなり混雑していた。けれど、「黒」と「白」の強烈なハイ・コントラストな世界に一歩足を踏み入れると、すぐに集中して鑑賞することができた。サイトの紹介文にもあるが、ジャコメッリは、写真一枚で物語るのではなく、異なるネガを組み合わせたりした写真群で事物の本質へ迫ろうとする写真家だ。鑑賞しながら思ったことは、写真作品そのものから受ける印象と、そのタイトルが乖離している場合があるなということ。例えば、入り口から入って最初に目にしたホスピスのシリーズは、決して幸福ではない状況の人々を非常に美しく撮影した作品群だが、タイトルは『死がやって来ておまえの目を 奪うだろう』とある。また、神学生たちが雪原を笑顔で駆けたり、*1 輪になって踊っている有名な作品には、『私にはこの顔を撫でてくれる手がない』というタイトルがついている。その言葉に、またドキリとさせられるのだ。全く詩人だ。行って良かった。
チケットにあった、マリオ・ジャコメッリが残した言葉──

白、それは虚無。黒、それは傷痕。



追記:2013-05-13
マリオ・ジャコメッリ写真展の公式facebookに、作品のタイトルについて掲載されているのを目にしたので、メモ代わりに、引用しておく。

当初、このシリーズのタイトルは、『若き神父たち』または、『マルケ州から集まった神学生たち』としていましたが、ダヴィッド・マリア・トゥロルド神父の詩より引用し、ジャコメッリは「私には自分の顔を愛撫する手がない」と改めたそうです。
2月10日



それからもうひとつ。ホスピス写真のタイトルについても、興味深い記事を見つけたので貼っておきたい。

当初、「ホスピス」と名付けられたこのシリーズだが、
のちに20世紀前半、イタリアで活躍した詩人・小説家のチェーザレパヴェーゼ
詩「死がやって来てお前の目を奪うだろう」のタイトルを借りることになった。
マリオ・ジャコメッリ写真展 | フクヘン。

*1:id:hobbiton氏のプロフィール画像に使われている。