All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

映画「犬ヶ島」の感想

はてダは昨年の9月以来、約8ヶ月ぶりの更新だ。
最後昨年の9月に映画「犬ヶ島」の予告編について書いたが、早く観たいという昨年来の願いを先日叶えたので、ちょっと感想を記したい。
因みに、私は観終わって映画館を後にしてからこれを書いている今この瞬間まで、かなり興奮している。そのくらい素晴らしかった!セットの作りが隅々まで美しく、これがパペットとアニメーションを用いたストップモーション映画とは、ウェスアンダーソン監督の熱量たるや物凄い気迫を感じた。ものがたりは20年後の日本が舞台であるが、登場するウニ県メガ崎市の街の風景や料理、市井の人々の生活ぶりや服装から、ビジュアル的な時代背景はかなり曖昧だ。けれど、「銀魂」や山口晃の作品が好きな人ならばすんなり受け入れられるのではないだろうか。台詞も、日本語と犬語(英語)に通訳が挟まる無秩序でごちゃごちゃした言葉の飛び交いが面白かった。ものがたりはファンタジーだけれども、内容は、日本の高度成長期の公害問題や学生運動を連想させられたし、さらに腐敗した政治権力も描いていて現代に通じる。そして、なにより犬たちが泣かせる。私は犬は飼ったことがないので分からないのだが、飼い主に忠誠を誓う犬たちの純粋さにほろりとさせられる場面が何度もあった。


フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(20世紀フォックスの子会社)が、YouTubeに「犬ヶ島」冒頭の3分半をポストしている。



2:37 に黒い画面のスポットライトに登場する3人の和太鼓演奏が素晴らしい。バチが当たるたびに太鼓の皮が波打つ様に、ただただ驚く。私は、パペットではなく、小太りな3人の男子が実際に演奏しているような錯覚を起こしてしまった。そして、たった50秒間だが音の迫力に心酔した。宮太鼓に加え、摺鉦(すりがね)や木鉦(もくしょう)の音が小気味良く、最後は鈴の音も聞こえる。サントラのクレジットを見ると、米国出身の和太鼓と篠笛奏者である渡辺薫氏の演奏とある。

映画「犬ヶ島」公式サイト
Inugashima (2018) Full Cast & Crew ※ 意外な俳優が多数声の出演をしていることが分かる。