All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

光とその影

伝説の女性 鈴木いづみについて38人が語った評伝本『鈴木いづみ 1949‐1986』を読む。その中で、芥正彦氏が語った、恋愛と二人(鈴木いづみ阿部薫)の関係についての言葉が印象深かった。

「愛」と「恋愛」と「恋」って三つとも全然違うような気がするんだよね。「恋愛」っていうのは競争でね、戦場だからさぁ。で、恋愛の場合、片っぽは影でしかなくなるわけよー。二人いたはずなんだけど、よく見たら、それぞれが光とその影になっている。影にまわされたやつはキツいからあがくでしょう。お互いが入れ替わっているうちに消耗してって、別れられればいいけど別れられない間……。死によって別れる場合、残った奴は単純に影の中に突っ込まれる。阿部薫は肉体がなくて、むしろ影だったんだと思うんだよね。だから自分の肉体を見つめるようにいづみを見てた。それをいづみが気づかないから、ヒステリーおこしたり、ケンカしちゃったりしたんだけれども。だから、いずれにしても、肉体の裏側の闇だから、双方でナチズムを要求し合っちゃうみたいなねぇ、だから当然、民主主義社会から消されてくってとこはあるよ。        (pp.165-166から抜粋)

鈴木いづみ 1949‐1986

鈴木いづみ 1949‐1986


関連ログ:All Tomorrow’s Girls - 鈴木いづみコレクション