All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

男と女 別れの場面

 落ち着いたその語り口に、私が思わず「姐さん」と呼びたくなるhebakudanさんのブログ。その中で、昨年暮れに拝読したこちらのエントリーが興味深い。

本と屁爆弾 : 映画雑記 「別れの場面」5選

 hebakudanさんがあげた5選の中には、私が未見の映画もあるのだが、『ひまわり』や『マディソン郡の橋』の別れの場面は、仰るとおり切なくて切なくて、私もクリネックス鷲づかみ状態で観た。実は歳をとる以前から、涙もろいのだ。
 さて、映画の中の男と女の別れの場面で、私が最も印象に残っているのが『天井桟敷の人々』の最後、バチスト(ジャン=ルイ・バロー)が「ギャランス!」と叫ぶ場面だ。20代前半に、テレビとビデオで2回程観ただけだが、3時間以上観続けて、最後の最後にあの別れの場面がくるとは。
 バチストが何年も慕い続けていたギャランスとやっと結ばれた宿に、翌朝、妻が息子を連れてやってくる。息子を見てギャランスが部屋を出て行く。それを見て声も出ないバチストに妻が叫ぶ。だがバチストの心はギャランスにしかない。ギャランスの名を大声で叫びながら彼女を追いかけるも、謝肉祭でごった返した大通りの人々に阻まれ、バチストの声はついにギャランスに届かない…。
 私にとっては、今思い出しても悶え苦しむというか、あまりの結末だったのだ。
というわけで、映画で最も印象的な別れの場面については、『天井桟敷の人々』が、私の中ではこの20年間、不動の1位である。

Enfants du paradis, Les (1945) - IMDb
天井桟敷の人々(Les enfants du Paradis / Children of Paradise) - Wikipedia
天井桟敷の人々 物語 (詳細)