All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

近況

 4月後半となってもまだ冬。冬物のコートにマフラーを巻く格好をしなくては寒くて出かけられない、こんな春。


 20日火曜日に、東京都写真美術館で開催中の「ジャンルー・シーフ写真展 Unseen & Best works」と、ワタリウム美術館で開催中の「ジョン・ルーリー ドローイング展 John Lurie YOU ARE HERE」に行ってきた。
 自分の日記を検索してみたら、私が写美を訪れたのは、2007年6月以来のこととわかった。地下1階の会場には、ジャンルー・シーフの没後10年記念として、未発表作品を中心に、年代別に数多くの作品が展示されていた。平日の昼間の所為か客もまばらで、モノクロの静かな空間が広がっていた。
 60年代前半の「ハーパース・バザー」での作品と、有名人のポートレート、それからヌード写真がこれまで最も目にしていたし、印象深いのだが、70年代から80年代にかけて撮影された砂丘や城、ノルマンディの風景も改めて観たら、やはり素晴らしい。以前、同じくシーフファンの友人と話したことだが、モノクロ写真芸術に欠かせないのは、銀塩フィルムから銀塩印画紙にプリントする職人の技だ。 1階の売店に寄って、ポストカードを数枚買って、恵比寿を後にした。


 外苑前に移動し、降り出した雨の中、ワタリウム美術館へ歩いて行った。ワタリウムを訪れたのは、昨年の9月以来。鑑賞する前に先に、地下のカフェで腹ごしらえをした。ジョン・ルーリーといえば、我が家の玄関に彼のパネルを壁に立てかけて置いてある。実は、ジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のポスターのこと。
 1階から4階にかけて美術館の壁は、全て白と上三分の一がスカイブルーに塗られ(ジョン・ルーリーの指示によると伺う)、明るい雰囲気であったが、会場と反比例するように、彼の絵はどれも暗かった。暗いというのは私が感じた印象なので、観る人によってはポップで明るいと感じるかも知れない。観るときの精神状態によって、同じ絵でも印象は変わるかも知れない。2階にあった「骨は外側にある」(Bones are on the outside,2006)は、うぐいす色と群青色が混ざったような色の魚の絵で、とても好き。それと、3階のエレベーター前の「私はかつてコヨーテだった。そして死んだ。コヨーテとして戻ってきた。」(I was a coyote, then I died, then I came back as a coyote, 2005)は、背景が赤と青の二色で、カーキ色のコヨーテの目がとても良かった。鑑賞している間、殆ど自分一人だけだったのは、これが初めてかも知れない。
 入場料1000円を支払うと、5月16日の会期終了日まで何度でも入場可能なパスポートをもらえる。


──とまあ、美術館に行って、一人優雅に過ごしていたばかりではないのだが、我が子の入学、転校ときて、保護者会等の諸々の行事も終わり、なんと数年ぶりに“無役”となった為、なにか新しいことを始めようかと模索しているところ。以上、近況報告。