All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

センナ茶の思い出

 女子高時代の3年間、私はクラスの中で一位二位を争うほどの便秘持ちだった。そしていつの頃からか、朝登校すると、同じ便秘持ち仲間数人と、朝、若しくは前夜に出たかどうか報告し合うようになった。教室の端と端で生理用品を投げ合う下品な女子高生だったので、互いの便秘事情も共有するのは当たり前の感覚だったのだと思う。マリア様、ごめんなさい。
 そんなアホな私たちを知って、クラスで一番演歌が上手かった西田さん(仮名)が、(彼女は美声を活かし、卒業後ウグイス嬢や司会のアルバイトをよくしていた)便秘によく効くお茶があるから今度持ってくると私に告げた。彼女のことは元々好きだったが、他の子たちにではなく私にだけそのお茶を持ってきてくれるというので、更に好きになった。流石、受験の時に隣の席だった西田さんだ。
 翌日、私は西田さんからサランラップに包んだお茶のパックを2つ受け取った。それは「センナ茶」という漢方薬の一種だという。夜飲むと翌朝に効くことになっているが、自分はそれが昼間に効き目が現れ、学校のトイレ行くので苦労したので、休日の前日の夕食時に飲むのが無難だろうと言われた。私は彼女にお礼を言って、飲んだら必ず報告するねと約束をした。
 そして、早速その週の土曜日の夕食時に決行した。寮のカフェテリアで、ひとりで早目に食事を済ませ、こっそりセンナ茶を飲んでいたら、同じ部屋の後輩が近づいて来て、「先輩、何飲んでいるのですか?匂いがすごい…」と顔をしかめて訊いて来た。私「センナ茶。便秘に効くんだって」後輩「え、美味しいんですか?」私「マズイ」後輩「ふわぁ… 先輩、頑張ってください」私「うん、頑張る」マイマグカップにお湯を注いで飲んだセンナ茶パックはそれ一回で捨てずに、西田さんに言われた通り、冷蔵庫に閉まった。ひとパックで何杯も飲めるものらしい。
 翌朝、後輩に告げたとおり、寮生たちが寝静まってる未明から朝食時を挟んで昼近くまで、私は頑張った。脂汗が滲むほどの頑張りぶりで、多分その日一日で3キロくらい体重が減ったのではないだろうか。臍から腹がぺったんこになったのは衝撃的だった。この日くらい和式トイレを恨んだことはなかったね。洋式トイレは、一階の客人用と寮母の部屋にしかなく、そこを占拠するわけにはいかなかったので、各階にある普通のトイレを使ったのだが、へとへとに疲れてしまった。


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