All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

感情線は長いですか?

先週の金曜日に、何故かここ数年は年に一度だけ会うという友人と二人で、横浜美術館で開催中の「奈良美智:君や僕にちょっと似ている」展に行ってきた。
私は、横浜みなとみらいには何度も足を運んでいるのに、この美術館を訪れるのは意外にも今回が初めて。展覧会のタイトル、「君や僕にちょっと似ている (a bit like you and me)」は、ビートルズの“Nowhere Man”で2回歌われる歌詞でもある。
入り口から入ると、巨大な“White Ghost”が出迎えてくれた。これは、2010年にニューヨークのパークアベニューに設置された彫刻だ。入場券を買って手渡された作品リストを見ると、彫刻、絵画(カンヴァス/板)、ドローイング、インスタレーションが109点もある。しかも、2011年から2012年に制作された新作だけだ。もうこの時点で凄すぎる。
展示場所が、展示室数カ所の他に、回廊、ホワイエ、カフェにまで及び、館内全体を行きつ戻りつしながら、奈良美智ワールドを堪能した。
中でも印象に残ったのは、やはり、最初の展示室に置かれたブロンズ彫刻の女の子たちだ。銀色の白銅像や金色に塗ったブロンズ像も何点かあったが、黒か灰色の作品が主で、色彩的には渋いというか地味な作品群ではあった。しかし、あそこの雰囲気全体が私の胸に迫った。地味に落ち込んでいる時に出会ったら、きっと、その場で泣いてしまうだろうなと思ったほど、女の子たちの表情は心に訴えかけてくるものがあった。その中でも最も気に入ったのが、“考えるお姉さん”。真っ黒な目を瞑ったお姉さんの頭の彫像は、離れたところから眺めると、とてもリアルだった。

因みに、この記事のタイトル「感情線は長いですか?」は、“ Trommelschlägerin”*1 と題されたドローイングの上部に書かれていた言葉。画像は入場券。

*1:この独語を調べたところ、Trommelschlägerで太鼓奏者の意味。最後にinが付く言葉は無かった。奈良さんの造語だろうか? 訂正:独語で 〜in は一般的に女性をあらわす接尾語とのこと。 まーどんなさん、教えていただきありがとうございます!