All Tomorrow’s Girls

It's hard to stay mad, when there's so much beauty in the world. ━American Beauty

"Toby Dammit" Remastered HD-DVD

 (Via)
今年8月にHDリマスター版として再販されたDVD「世にも怪奇な物語」(=Histoires extraordinaires / Spirits of the Dead (USA))を観た。
DVDを観るきっかけとなったのは、erenoa70さんのブログ記事。

 よだれ一滴 - 「世にも怪奇な物語」をDVDで観ましたよ

erenoa70さんが仰る通り、最後のフェリーニの映画が圧倒的に素晴らし過ぎて、しつこいようだが、他二つの映画が霞んでしまっている。


昨年、ブログにこの映画について書いた直後、実はDVDを借りて観て、やはり、昔自分が観たビデオも全編フランス語仕様であったことを再確認していたのだが、今回観たDVDの音声は違っていた。
第1話が英語、第2話はフランス語、で、私が大大大好きな第3話「悪魔の首飾り」("Toby Dammit")はイタリア語になっていた。しかも、テレンス・スタンプ(=トビー)はちゃんと英語で話していたので、大変喜ばしい。
というわけで、私もerenoa70さんと同じく、「悪魔の首飾り」についてはもうこれ以上何も言うことは無いんだけれども言いたくなったから言います。


改めて「悪魔の首飾り」をハイビジョンで観ると、登場人物や小道具に新しい発見があって、細部まで凝った演出にまた溜息が出た。それから、幻想的で不気味な雰囲気が最後まで途切れないことと、登場人物が皆まともじゃないことにも感心させられた。
空港から移動する車の中で、映画制作会社の代表である神父が、次回作の「カトリック西部劇」でのキリストの描き方は冒涜ともいえると説明する場面に、フェリーニだなあ…とにやりとさせられる。
主人公を始め授賞式会場でタキシードを着た男たちが皆、蛭子能収の漫画のように全身に汗をかきまくっているのが笑えるし、だいたい、賞の名前が“黄金の狼賞”というのも、同じイタリアで開催されるヴェネチア国際映画祭の“金獅子賞”のパクリみたいだ。
ファッションショーのシーンでは、モデルが登場する度にドレスにつけられたタイトルを司会者が発表するのだが、それが「沈める寺」・「ローマの噴水と屈辱」・「恥じらいの乙女」といったもので、これって何かのパロディなのか?と笑ってしまった。最優秀脚本賞を受賞した老婦人の脚本家がよれよれとトビーに話しかけに来て、曰く、作品名が「骸骨を持って帰れ」。これも思わず吹いてしまった。
トビーがスピーチで、「お前の過去は愚か者の墓場の道を照らしてきた」と、シェイクスピアマクベスっぽい台詞を披露するのだが、そこから一気に破滅へと向かっていく流れに緊張させられる。
書きすぎたかしら。


ついでに──
この3人の監督によるオムニバス映画は、エドガー・アラン・ポーの小説を元に競作されたということだが、「悪魔の首飾り」("Toby Dammit")に関しては、悪魔に首を取られるという設定だけが、原作「悪魔に首を賭けるな」("Never Bet the Devil Your Head")と一緒。今年、「ポオ小説全集 3 」を読んで分かったこと。


世にも怪奇な物語 HDニューマスター版 [DVD]

世にも怪奇な物語 HDニューマスター版 [DVD]


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